BMW F04 ACTIVE HYBRID7 難解!エアマス妥当性 ''101F01''

BMW F04 ACTIVE HYBRID7 N55エンジン

・ドライブトレーン警告表示

・エンジンチェックランプ点灯

にて入庫しました。

今回のブログは少し長くなりそうです。

今のところエンジン不調は全く無いです。

早速診断してみます。

エラーコード ''101F01" エアマスシステム妥当性

 

出ました。

 

不調がないパターンのこのエラーコードはヒジョーに厄介です。

BMW純正診断システム ISTAに繋ぎ直します。

データ数値をCHECK

 

どういった故障なのか簡単に説明します。

下がN55エンジンのインテークシステム図解です。

インテークシステムには大量の温度センサーや

圧力センサーの類が配置されています。

⑥番のエアマスセンサーが最初にエンジンの吸入空気量を計測します。

吸入空気は画像のパイピングを通ってインテークマニホールドまで流れます。

⑥番で計算された空気量に対して、下流のインテークマニホールドで

算出された空気量が多すぎる事を意味しています。

 

''101F01" エアマスシステム妥当性 で考えられる不具合個所は

・何処かから余計な空気(二次エア)を吸い込んでいる

・各センサーの計測値のズレまたは故障

・スロットルバタフライ不良

・インテークバルブ周辺へのカーボンの蓄積

・クランクケースベンチレーションの異常

・ターボチャージャーのブースト制御系エラー

・バルブトロニック関連の故障

・and more..and more...

と多岐に渡り過ぎて絞り込みが難航しがちです。

エンジンの不調が症状として出ていればまだマシなのですが

今回は不調症状なしパターン。

 

頭抱えていても仕方ないので行きましょう!

まずは一番疑いやすい

・何処かから余計な空気(二次エア)を吸い込んでいる

に焦点を当ててみます。

インテークシステムを目視点検。

 

すると あっ バキュームパイプ!

すっぽ抜けとるやないかい。

ここから空気吸ってたのね。

あっさり解決!!

の気持ちでいます。この時までは。

接続のゴムホースが経年劣化で縮んで抜けた感じです。

ASSY部品交換もいいですがパイプ部分は問題ないので

在庫部品を使って接続部のホースだけ交換します。

抜けないようホースバンドで固定してロードテスト。

これにて終了!と思いきや~

再来。また振り出しに..

 

気を取り直します。

スモークテスターを使ってインテーク系統に漏れがないか点検します。

構造は電子タバコとかVAPEに近いです。

これを密閉されたインテーク系統に流し込みます。

二次エアを吸い込んでいる場所があればそこから煙が出てくるワケです。

おっと、漏れ発見!

写真で解りづらいですがパイプの継ぎ目から煙が流出。

ここはインタークーラーを通過した後なので

タービンの加給圧がかかればエア漏れも起こします。

ホースバンドの交換で漏れはSTOP!そしてロードテスト!

どうだ?

再再来..

 

がっくり来ますがこれで

・何処かから余計な空気(二次エア)を吸い込んでいる

この可能性は潰せたのでヨシとして、次に進みます。

 

目視で確認できるところは外してチェックしていきます。

スロットルバタフライ、とてもきれい。動きも問題ナシ。

インテークバルブの状態

不調を起こす程にひどいカーボン蓄積ではなさそう。

カーボンが酷い場合はクルミブラスト清掃の必要があります。

・スロットルバタフライ不良

・インテークバルブ周辺へのカーボンの蓄積

これらも正常と判断して潰しました。

 

次。

・各センサーの計測値のズレまたは故障

コレいってみますか。

インテークラインに数個の圧力センサーが取り付けられています。

これらは同じ部品のため、付け替えてチェックする事ができます。

クロスチェックといいます。

もしセンサーの値がおかしければズレた数値が付け替えた個所に移るワケです。

センサーを入れ替えてみて数値がどう変化するかテストします。

 

下を見て下さい。アイドリング状態の数値です。

BMWのガソリンエンジンはバルブトロニック機構で制御されていて

スロットルボディはほぼ開きっぱなしで負圧がほとんど無いんです。

上の二つはインテークマニホールド手前のセンサー数値です。

大気圧が1013.25hpaなのでこれは大気圧を検知してるという意味です。

インテークパイプ(インテークマニホールド)の圧力だけ少し低いのは

スロットルバタフライの開度で若干圧力が変化するからです。

 

じゃあエンジンを停止したらどうなるのか?

見てみましょう。

全てのセンサーが大気圧を表示しています。

センサーの入れ替えを行ってもこの数値は変化なし。

ということはつまり

圧力センサーはすべて正常と判断しました。

 

そうなるといよいよ怪しいセンサーがひとつ。

最初に診断した段階でエアマスの数値がやや低いのが引っ掛かってました。

二次的にエアを吸い込んでいるとエアマスの数値は下がります。

まず二次エア流入から潰しにかかったのは実はそれが理由です。

 

エアマス数値が上下したり、安定しなかったりと疑いが大きい。

ここまで診断して不具合個所を絞り込んだ上で

現状で最も故障の可能性が高いと見られるのがこのセンサー。

ご相談の上、まずはエアマスセンサーの交換に決定。

 

もちろん、交換で必ずしも改善が約束されている訳ではありません。

費用を抑えるため純正部品ではなく製造元のOEM部品を手配。

純正品番の刻印がないだけでモノ自体は同じです。

サクッと交換して

 

ロードテスト..

やりました!エラー解消!

 

低めだったエアマスの数値もほぼ正常値を算出しています。

 

コレでようやく

エアマスセンサーの故障で空気量の算出値が低すぎたため

エアマス妥当性のエラーが発生していたと判明!

 

診断機は非常に便利!ですが

コレで故障個所がすぐ見つかるというものではなく

あくまで "補助的" なツールのひとつです。

人間が工程を積み重ねて故障探求を行う必要があります。

 

もちろん診断機でパッと答えが出るような簡単な修理もあります。

しかし今回のように故障個所の絞り込みにかなりの時間を要する

作業というのも実は結構存在します。

 

とはいえ安易に勘や経験などを頼りに闇雲に部品交換を行ってしまうと

費用もかさんでしまう上に、大概が治らないとか、痛い目に合います笑

 

当店では各種診断機・テスター・配線図・データ数値などを駆使して

【可能な限り故障個所を絞り込んだ診断・提案】を常に心がけています。

 

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